不動産仲介トラブル事例39:土地売買契約において、建物の再築にあたって既存擁壁を取り壊す必要がない旨の誤った説明を媒介業者が行ったため、買主の媒介業者に対する損害賠償請求が認められた事例

本ブログでは、不動産業者向「令和4年度版 宅地建物取引士 講習テキスト」
記載の事例について記述します。

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紛争の内容

① 宅建業者である買主Yは、宅建業者Xの媒介により、平成28年7月、売買代金7,300万円
で宅地(以下、「本件土地」という。)を購入する売買契約を締結した。
② 本件土地は、建築基準法42条2項道路に接しているため、道路中心線から2メートルの位置まで敷地をセットバックする必要があり、セットバックをするには、崖地となっている箇所の擁壁(以下、「本件擁壁」という。)を取り壊して、セットバックラインに沿って新たに擁壁を築造する必要があった。
③ XがYに契約締結前に送付した売買契約書・重要事項説明書の案では、「セットバックに合わせて、新たに擁壁を造り替える必要があり、その費用は買主の負担とします。」との条項が設けられていたが、Yはそのような条件では購入できない旨を伝えたところ、Xは売主の了解を得て、この条項を削除し、実際に取り交わした売買契約書・重要事項説明書では、この条項は記載されていなかった。
④ しかし、契約後、Yの依頼した一級建築士の調査により、本件擁壁を取り壊した上で新たに擁壁を築造しなければ建物を建築できないことが判明した。
➄ Yは売主に対し、本件売買契約を白紙解約する旨の通知をしたが、弁護士の助言を受け気て翻意し、やむを得ず売買代金を支払い、決済を完了した。
⑥ YはXに対して媒介契約に基づく報酬を支払わなかったため、XはYに対し、媒介報酬268万円の支払いを求めて訴訟を提起し、これに対し、YはXに対し、媒介契約上の債務不履行または不法行為により約1,555万円の損害を被ったとして反訴を提起した。

<紛争関係図>

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各当事者の言い分

買主Yの言い分

① Yは、セットバックに伴い本件擁壁を取り壊して新たに擁壁を築造しなければならないのであれば、多大な費用を要することから、本件土地は購入しなかった。
② YはXに対し、媒介契約に基づく善管注意義務として、本件土地が建築基準法42条2項道路に接していることにより、新たに建物を建築するには、本件擁壁を取り壊して新たに擁壁を築造する必要があることについて調査した上で、説明すべき義務を負っていた(宅建業法第35条第1項第2号参照)。
③ しかし、Xはセットバックに伴い本件擁壁を取り壊す必要はない旨の事実と異なる説明を行い、契約書案及び重要事項説明案に記載されていた本件擁壁を再築する必要がある旨の条項を削除するなどして、Yに本件土地を買い受けさせたものであり、媒介契約上の債務不履行または不法行為に当たる。
④ また、Xは、本件媒介契約に基づき、適切な業務を行ったとは評価することはできないから、報酬請求権は発生しない。

仲介業者Xの言い分

① 本件土地において建物を建築する場合、セットバックに伴い、本件擁壁を取り壊して新たに擁壁を築造する必要があることは、近隣の不動産業者では公知の事実であり、Yもこの事情を知っていた。XがYに対し、本件擁壁を取り壊す必要がない等といった虚偽の説明をしたこともない。
② 契約書案及び重要事項説明書案に記載されていた本件擁壁を再築する必要がある旨の条項は削除されたが、セットバックが必要であること自体は契約条項から削除されずに明記されていたから、Yも擁壁の再築が必要であることは理解していた。したがって、Xに債務不履行または不法行為は成立しない。
【注】Xが主張しているのは、本件擁壁を取り壊す必要がないことは契約書・重要事項説明書からは削除されたが、「セットバックは必要である。」旨は契約書に記載されていたということである。

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本事例の結末

裁判所は、以下のとおり判断し、Xの債務不履行責任を認め、Yの損害賠償請求を一部認容するとともに、Xの媒介業務の瑕疵により売買契約の目的を達成できなかったとして、Xの報酬請求を棄却した。
① XはYに対し、宅建業者として、媒介契約に基づき、本件土地上に新たに建物を建築する場合、建築基準法上の規制により、本件擁壁を取り壊して新たに擁壁を築造する必要があることについて説明義務を負っているところ、XはYに対し、本件擁壁を取り壊す必要がないことを区役所に確認した旨の事実と異なる説明を行い、その旨誤認させて、Yに本件土地を買い受けさせたことから、本件媒介契約上の債務不履行責任を負う。
② Yは、本件土地で戸建住宅の建売事業を行うため、本件擁壁工事を行い、工事費用として1,414万8,000円を支出したが、Xの債務不履行がなければ、Yは本件土地を購入することはなかったことから、本件土地を購入したことにより生じた損害が債務不履行と相当因果関係のある損害となり、工事費用相当額が損害とはならない。
本件土地の更地価格は、約8,635万円であり、同額から旧建物の撤去に要した費用195万円及び本件擁壁工事費用1,414万8,000円を控除することにより、本件売買の条件による本件土地の適正価格は7,025万円余りとなる。Yは、本件擁壁の取壊しを要しないものと誤認して本件土地を7,300万円で購入したことから、その差額に相当する274万円余りに弁護士費用相当額27万円を加えた301万8,000円が損害となる。
③ YはXとの間で媒介契約を締結し、その媒介により本件売買の成立に至ったとしても、Xの業務の瑕疵により、契約の目的を達成することはできなかったことから、XはYに媒介契約に基づく報酬を請求することはできないと解するのが相当である。

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本事例に学ぶこと

① 宅建業法上、媒介業者は買主に対し、宅建業法第35条に基づく重要事項説明義務を負っており、建築基準法に基づく制限についても、同条第1項第2号により説明義務を負っている(また、説明義務の前提として、調査義務をも負っている。)。
さらに宅建業法第47条第1号は、宅建業者が故意に重要な事実を告知せず、不実を告知するという詐欺的行為を禁止している。
判旨では触れられていないが、Xが行った行為は、敷地をセットバックするにあたり、既存擁壁を取り壊す必要があるかという、宅地に関する法令上の制限という重要事項について不実告知している点で、宅建業法第47条第1号の規定にも違反するため、損害賠償の責任は免れない。
② また、媒介契約において、媒介業者に業務上の注意義務違反があり、委託者が損害を被ったときは、媒介業者の責に帰すべき事由によって媒介行為の債務不履行があったことになるため、媒介業者は報酬請求ができないものと解されている(報酬請求はできるものの、損害賠償請求権との相殺を認める裁判例もある)。本事例では、このような考え方に従って、媒介業者の報酬請求を棄却しており、妥当な判断といえる。
③ なお、本件は改正前民法の事案であるため、買主は、セットバックに伴い既存擁壁を撤去して、多大な費用をかけて擁壁を再築するのであれば、事業採算が合わずに本件土地を購入しなかったとして、「契約をした目的を達することができない」ことを理由に、改正前民法第570条、第566条第1項に基づいて売買契約を解除することも可能であったように思える。
しかし、具体的な事案では、本売買契約では、瑕疵担保責任を免責とする特約が付されており、買主Yとしても法的に売主との売買契約を解除することは困難であると判断して、決済に応じた上で、媒介業者Xに損害賠償請求をする方針を採ったものと思われる。売主が非宅建業者、買主が宅建業者の売買契約では、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を免責とする特約をつけることも多いが、本件のように、媒介業者の調査義務違反・説明義務違反によって買主が契約時に予想し得なかった多大な損害を被ることもある。
したがって、買主としても、媒介業者の説明を鵜呑みにせずに、自ら法令上の制限を調査し、状況によっては、媒介業者を通じて契約条件(契約不適合責任の有無・期間)を交渉する等の対処が必要である。

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安達孝一

部署:本店

資格:宅地建物取引士、定期借地借家権プランナー、 2級ファイナンシャルプランニング技能士、 日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント、 日本仲人協会 マリッジアドバイザー

日々、情熱・魂(ゲミュート)・鋼鉄の意志で生きています。

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