不動産仲介トラブル事例36:宅建業者である売主と個人である買主の間で締結された土地売買契約につき、土地の引渡しから約5年後に地中埋設物等の存在が確認された事例において、買主が売主及び買主側の媒介業者に対して説明義務違反等に基づく損害賠償責任等を追及したところ、裁判所が売主の説明義務違反を認めたが、媒介業者の調査・告知義務違反を認めなかった事例

本ブログでは、不動産業者向「令和4年度版 宅地建物取引士 講習テキスト」
記載の事例について記述します。

株式会社アダチは、不動産仲介におけるトラブル事例をカテゴリーとしたブログを公開しています。このブログには、不動産仲介トラブル解決方法や契約書の注意点、不動産売買のトラブル事例、不動産鑑定士の必要性、弁護士に相談するタイミングなど、役立つ情報が盛り込まれています。特に、不動産売買におけるトラブルが増加傾向にある現代社会において、契約書の注意点や不動産鑑定士の必要性に関する情報は非常に役立ちます。また、トラブルが発生した場合には、弁護士に相談するタイミングや、どのような点に注意して弁護士を選ぶべきかについても解説されています。株式会社アダチのブログは、不動産仲介に関するトラブルを未然に防ぐための情報提供に役立ちます。

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紛争の内容

① 宅建業者であるYは、既存建物が存在する土地(以下「本件土地」という。)を取得し、建設業者であるAに委託して建物を解体した上で、本件土地を売却した。
② 個人であるXら(以下単に「X」という。)は、宅建業者であるZに媒介を委託したうえで本件土地を購入することとし、Yとの間で本件土地の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。本件売買契約に係る重要事項説明書においては、「敷地内残存物、旧建物廃材、建築廃材、浄化槽、井戸」という欄にチェックはされていなかった。本件売買契約においては、2年間の瑕疵担保責任及び「本件土地上に建築物を建築する際、地耐力強化のための地盤改良工事等が必要となる場合であっても、この費用等については、買主の責任と負担で処理する」との特約(以下「本件特約」という。)が約定されていた。
③ 本件土地の引渡しから約5年後、Xが本件土地上に建物を建築するために土地の調査を行ったところ、本件土地中から、解体された建物の土間スラブやコンクリートガラ、鉄骨、井戸等の地中障害物等が確認された。そのため、Xは、当初予定していた地盤改良工法より高額な費用を要する別の地盤改良工法を採用し、費用負担を余儀なくされた。
④ そこで、Xは、Yに対し、上記地中埋設物等の存在を告げず、さらに「旧建物の基礎、建築廃材、浄化槽及び井戸等の敷地内残存物が存在しない」旨の記載のある物件状況等報告書を提出したため、説明義務違反に基づく損害賠償責任があり、また、乙に対し、本件土地に地中埋設物等があるかどうかについて調査をして告知・説明する義務を負っていたのに怠ったとして、地盤改良工事の変更により生じた費用等の損害賠償を求め、訴訟を提起した。

<紛争関係図>

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各当事者の言い分

買主Xの言い分

① Yは、既存建物が存在した状態で本件土地を購入しており、その従業員が既存建物の取り壊しに立ち会ったのだから、地中埋設物等が残置されていることを把握していたにもかかわらず、これをXに告げず、むしろ、本件土地について、地中埋設物等が存在しない旨の物件状況等報告書を提出しており、説明義務違反及び瑕疵担保責任を負う。
② Zは、Xが自宅を建築する目的で本件土地を取得することを知っていたのだから、本件土地に存在し、建築の障害となる様な地中埋設物等の存在について調査をして、告知・説明する義務を負っていたのにこれを怠ったのだから、Zには調査・告知義務違反がある。

売主Yの言い分

Yは、地中埋設物等が存在することについて認識していなかったし、認識していないことについて過失はない。

媒介業者Zの言い分

Zは、地中埋設物等が存在することについて認識していなかったし、地中埋設物等の有無等について具体的な調査能力を有しないため、調査義務が生じることはないし、Xの主張する義務違反はない。

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本事例の結末

まず、裁判所は、Yの責任について、Yが地中埋設物等の存在を知っていたとは認定しなかったが、物件状況等報告書の作成等を通じて、売買の対象となる土地の状況について正確な情報を告知・説明する義務を負っており、地中障害物が残存していることを把握し得たにもかかわらず、Aと密に連絡をとることなく、物件状況等報告書を作成したと推認されると指摘し、当該告知・説明する義務の履行を怠ったものとして、Yの損害賠償責任を認めた。
なお、本件売買契約においては、本件特約が合意されていたが、裁判所は、本件地中埋設物等が存在することとなったのはYの責めに帰すべき事由によるものであるところ、本件売買契約を締結する際にXが地盤改良工事に要する費用等を考慮して売買代金額を決したとはうかがわれないこと等を考慮すると、本件特約によって本件におけるYの損害賠償責任が免責されることはないと判断した。
また、裁判所は、Zの責任について、Zが重要事項説明を行い本件売買契約を締結する時点において、本件土地は既に更地化されており、また、売主であるYより物件状況等報告書において敷地内残存物はない旨の説明を受けている状況において、Zが独自の追加調査を実施する義務を負っていたとは言いがたいとして、Zの法的責任を否定した。

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本事例に学ぶこと

本事例は、宅建業者が土地を更地化して売却した場合において、当該更地化の工事に瑕疵があり、結果として、当該土地の買主に損害が生じた場面において、売主である宅建業者に損害賠償責任が認められた事案である。裁判所は、当該宅建業者が地中埋設物等の存在を知らなかったことを認めた上で、当該宅建業者が自らの過失により、当該地中埋設物等について認識していなかったにもかかわらず、特に地中埋設物等が存在しないかのような説明を行っていたことを重視し、その法的責任を認めたことが特徴的である。
また、本事例では、媒介業者の調査・説明義務違反についても係争されている。裁判所は、媒介業者は更地化が完了した後に取引に関与したものであるとして、法的責任を否定しているが、違和感のない判断である。

(1)本判決のポイント

本判決は、宅建業者が第三者である施工業者に委託して宅地を更地化して販売した場合において、当該更地化工事に地中埋設物等が残存するという瑕疵があったために第三者の買主に被害が生じたことについて損害賠償責任を認めた点が特徴的である。すなわち、売主である宅建業者は、更地化工事については、注文者の立場にあり、地中埋設物等が残置して瑕疵がある工事の被害者でもあるが、第三者の買主との関係で、認識していなかった当該地中埋設物等について、これが存在しないかのような説明を行った点について、説明義務違反を認めているからである。
本判決は、売主である宅建業者が適切に対応を行えば、当該地中埋設物等の存在について認識し得たことを重視し、売主である宅建業者の説明義務違反を認めている。
本判決は、本訴訟に参加した施工業者であるAが現在の本件土地所有者であるXに対して直接の損害賠償責任を負うとも述べている。また、本判決は、Yが適切な法的主張・立証を行っていた場合には、AがYに対して損害賠償責任を負うことを認める余地があったと示唆をしている。他方、本判決は、これらの施工業者であるAの責任の成否によって宅建業者である売主Yの法的責任には影響を与えるものではないとも述べている。
以上を踏まえると、本判決は、宅建業者である売主に、既存建物の撤去工事において、地中埋設物等を埋め戻すといったことが無いように監視・調査を行い、適切な説明を行うことについての重い法的責任を認めたものと評価することもできる。もっとも、流通の専門家である宅建業者にすぎない売主が、専門外である工事に立ち会い、地中埋設物等の存在の有無を慎重に確認するべきであったといえるのかについては、価値判断を含む問題であり、引き続きの検討が必要であると考える。

(2)教訓

本判決の判断をどこまで一般化できるかについて評価が難しいが、宅建業者が土地を更地化して販売する様な場合には、不動産流通の専門家として適切な情報提供が期待されることに鑑み、単なる注文者に留まらない注意義務が課せられる可能性がある。それゆえ、工事業者の行う工事について単なる注文者として以上にその結果についてのリスクを負う可能性があることに注意が必要である。

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お客様へのお願い

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安達孝一

部署:本店

資格:宅地建物取引士、定期借地借家権プランナー、 2級ファイナンシャルプランニング技能士、 日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント、 日本仲人協会 マリッジアドバイザー

日々、情熱・魂(ゲミュート)・鋼鉄の意志で生きています。

安達孝一が書いた記事

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