不動産仲介トラブル事例29:賃貸物件の差押登記の調査を怠った媒介業者が、賃貸物件の差押登記の調査を怠ったため、損害賠償を命じられた事例

本ブログでは、不動産業者向「令和4年度版 宅地建物取引士 講習テキスト」
記載の事例について記述します。

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紛争の内容

①ラーメン屋を開業するため店舗を借りたいという客Xが来店したため、媒介業者Y
は、元付業者Bから入手していたビルの賃借人募集の広告資料をXに見せ、ビルの1階の本件店舗を紹介し、元付業者Bに本件店舗の案内をさせた。
②Xが本件店舗を気に入ったことから、媒介契約を締結の上、本件店舗の賃貸借契約を締結することになった。
③契約の当日、本件店舗の貸主Aと名乗る男(後に元付業者Bの従業員であったことが判明)が媒介業者Yの事務所に現れ、元付業者Bが急遽来られなくなった旨を述べ、媒介業者Yに重要事項説明書や賃貸借契約書の作成を依頼した。
④媒介業者Yは、元付業者Bにおいて必要な調査を行い重要事項説明書等を用意しているものと考えていたため、自ら本件店舗の権利関係等については一切調査をしていなかった。
しかし、媒介業者Yは、貸主Aと名乗る男の言葉に従い、貸主Aが正当な権限を有する貸主であって、その権利には何らの制限もないものとして、本件店舗に関する重要事項説明書を作成して、Xに交付した。重要事項の説明後、賃料月額7万円、敷金21万円、期間を2年とする本件賃貸借契約が締結された。
➄Xは、本件店舗の引渡しを受け、約500万円の内装工事費その他の費用ををかけてラーメン屋を開業した。
⑥ところが、後日、以下の事実が判明した。
 a.本件賃貸借契約の締結に先立ち、根抵当権者Cの申立にかかる競売開始決定による差押登記、債権者Dによる差押登記がなされていた。
 b.本件ビルについて貸主Aは賃借権設定仮登記を有していたが、この賃借権設定仮登記は上記競売の差押登記がなされた後になされたにすぎず、もともと貸主Aはその賃借権をもって、ビルの競売による買受人に対抗することはできなかった。
 c.さらに、貸主Aを名乗っていた男が、実は元付業者Bの従業員であり、勝手に賃借権設定仮登記権利者のAを名乗っていた。
⑦結局、Xは、競売による買受人(競落人)の申立により、裁判所から本件店舗の引渡命令を受け、やむなく本件店舗から退去して明け渡した。
⑧このためにXは、上記各差押えがされている事実を知っていれば本件賃貸借契約を締結しなかったとして、媒介業者Yに対し697万円余りを、媒介契約に基づく調査義務違反(債務不履行)による損害賠償として請求して提訴した。

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各当事者の言い分

借主Xの言い分

媒介業者は、不動産の賃貸借契約を媒介するにあたり、目的不動産について、登記簿を閲覧する等して差押えの有無等を調査し、依頼者に説明する義務があるにもかかわらず、媒介業者Yはこの義務を怠り、Xに損害を被らせた。

媒介業者Yの言い分

①もともと元付業者Bにおいて(必要な調査を行った上)重要事項説明書等を用意す
ることになっていた。
ところが、契約当日に、貸主Aと名乗る元付業者Bの従業員より、媒介業者Yにおいて関係書類を作成するよう言われたため、当該ビルの登記簿を調査して権利関係等を確認する間もないままに、重要事項説明書を作成し媒介をせざるを得なかった。
②したがって、当該ビルについて差押登記がなされていることは全く知らなかったし、上記のような状況に照らせば知らなかったことについて過失もない。
③また、借主Xは、本件賃貸借契約に基づいて、当該店舗を約定の賃借期間である2年以上にわたって使用したのであるから、媒介業者Yが債務不履行責任を負うべき理由はない。

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本事例の問題点・結末

問題点

借主側媒介業者が、依頼者である借主に対し不測の損害を被らせないよう重要事項の調査・確認をしていたか、調査・確認できないことが判明した場合、不自然な点がある場合、どのような対処をすべきだったかが本事例の問題点である。具体的には、以下の点に過失があるかが問題となる。
自分で勝本等を調査をして賃貸に障害となる事由(差押えの事実)がないことを確認せず、重要事項説明書を作成して交付し、賃貸借契約を締結させたこと
貸主Aの賃貸権限を調査・確認しなかったこと
貸主Aと自称する者とは面識もないのに、その本人確認をしなかったこと

結末

裁判所は、媒介業者Yに調査義務違反があったとして、損害賠償請求を認めた。その判決の要旨は、以下のとおりである。
①宅建業者が不動産の賃貸借の媒介をするに当たっては、善良なる管理者の注意をもって媒介を行って、賃貸借契約が支障なく履行され委託者がその契約の目的を達し得るように配慮すべき義務を負うことはいうまでもない。
②本件のように目的不動産について差押登記がなされているときには、当該賃借権が競売による買受人に対抗することができなくなって、賃借人が明渡しを余儀なくされることが容易に予想されるのであるから、宅建業者は(借主側仲介業者であっても)、貸主に確認するのはもとより、登記簿を閲覧する等して差押登記等の有無を確認し、賃借人に不測の損害を被らせないように配慮すべき義務がある。
③本件では、契約の当日において元付業者Bの立会いが急遽不能となったため媒介業者Yとは面識のない貸主が立会うことになったという不自然な経過や、元付業者Bが作成した広告以外に権利関係を確認する資料がないこと等に照らすと、媒介業者Yとしては契約の締結を後日に延期する等して慎重を期すべきであって、貸主Aを自称する一見の男の言葉を安易に信用したことはいかにも軽率との非難を免れず、宅建業者としての義務を十分に尽くしたものとは言えない。
④借主Xは、当初の賃借期間が経過した後も当然に賃貸借契約を更新して長期間にわたって本件店舗でラーメン店の経営ができるものと信じて、本件賃貸借契約を締結したものであって、借主が右の事実を知っておれば本件賃貸借契約を締結しなかったであろうことは明らかである。
➄媒介業者Yは、裁判所が認定した内装工事費・食器厨房用品購入費等の損害合計約552万円のうち、2年間営業ができた間の減価償却等を30%減額し、Xの被った損害として約387万円と遅延損害金を賠償すべきである。

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本事例に学ぶこと

(1)宅建業者の調査義務

借主側仲介業者(買主側仲介業者も同様)は、重要事項の調査は通常元付業者の仕事だからという理由で、責任を免れることはできない。元付業者が調査すべきものであっても、借主側仲介業者(買主側仲介業者)においても調査・確認しなければ、業者としての責任を問われる。
①業法上も宅建業者は、建物の賃貸借契約の媒介にあたり、各当事者に対して、「建物の上に存する登記された権利」(業法第35条第1項第1号)として「差押」について重要事項説明を行う義務を負う。
②宅建業者は、重要事項説明の前提としての調査義務を負い、この義務は他の宅建業者が関与している場合でも免除されることはなく、自ら必要な調査を行わなければならない。
③調査義務の違反により、媒介契約の委託者に損害を与えた場合には、媒介業者は、調査義務の不履行に基づき損害賠償責任を負う。
④媒介業者は調査や十分な確認ができないのであれば、契約締結日を後日に延期して調査をすべきである。
➄借主側仲介業者(買主側仲介業者)も土地・建物の最新の建物全部事項証明書その他の客観的な資料を取得し、差押え等の土地・建物に関する権利関係を確認し、客観的な根拠のない口頭説明だけを鵜呑みにしてはならない。
⑥なお、本件では、貸主Aを名乗っていた男は、実は、元付業者Bの従業員であった。
宅建業者は、契約者本人以外の者が契約者本人に成りすまして契約を締結する事態を避けるため、契約当事者と主張する者に対して、身分証等の提示を求めるなどして、契約者本人であることを確認する必要がある。

(2)普通借家契約

普通借家契約は、合意更新や法定更新で半永久的な借家の継続を保障されるのであるから、借家の仲介をした業者は、借主が当初の契約期間(本件では2年)事実上使えたからといって、責任を免れることはできない。

(3)差押と賃貸借の優劣

①なお、本件では、特に大きな争点になっていないが、競落人(買受人)より差押登記がなされた後に設定された賃借権(賃借権設定仮登記)は、差押の処分禁止効(差押え登記があれば売れない、貸せない)があるため、競売により落札した買受人に対抗できず、明渡しをせざるを得ない。
②差押登記の後に建物を借りた借家人は、単なる抵当権・根抵当権設定後(差押え登記前)の借家人と比べ、全く保護されないことに注意すべきである。
③媒介業者は、売買でも賃貸借でも当日謄本・前日謄本を取得して差押え登記がないかどうか、また登記中の場合は、建物全部事項証明書が取得できたあとに取引に障害がない登記か確認できるまで、取引を延期すべきである。

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安達孝一

部署:本店

資格:宅地建物取引士、定期借地借家権プランナー、 2級ファイナンシャルプランニング技能士、 日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント、 日本仲人協会 マリッジアドバイザー

日々、情熱・魂(ゲミュート)・鋼鉄の意志で生きています。

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