不動産仲介トラブル事例28:他人物売買取引における媒介業者の調査義務違反に係る損害賠償責任

本ブログでは、不動産業者向「令和4年度版 宅地建物取引士 講習テキスト」
記載の事例について記述します。

概要:
所有権者との間で売買契約を締結済みと虚偽主張をしていた転売人との間で売買契約を締結した転買主が手付金を詐取されたため転買主側の媒介業者に損害賠償請求をした事例において、裁判所が媒介業者が調査を尽くしていなかったとして損害賠償責任を認めたが、転買主が宅建業者であること等を理由に過失相殺を認めた事例。

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紛争の内容

①宅建業者であるXは、従前より取得を希望していた登記上の所有名義人がAほか2名(以下「Aら」という)である土地(以下「本件土地」という)について、Aらと本件土地の売買契約(以下「一次売買契約」という)を締結したと主張するBとの間で、Yを媒介人として、土地売買契約(以下「本件売買契約」という)の交渉を行った。
②XとBは、契約交渉が成立し本件売買契約を締結することとなり、Bの事務所で調印することとされた。契約締結当日になって、調印会場が、Bの事務所からYの事務所に変更されたり、Bの事務所には事前の説明と異なる会社名が掲げられていることが確認されたが、最終的に本件売買契約は締結された。
③その後、Bから示されていたAらとBとの間の一次売買契約にかかる契約書は偽造で実在しておらず、Xは、本件土地を取得できないばかりか、Bに手付金500万円をされてしまったことが判明した。
④そこで、Xは、Yに対し、本件売買契約が他人物売買契約であるところ、Yが一次売買契約に関し更なる確認を行っていればこの様な被害は生じなかったとして、手付金相当額500万円の損害賠償を求め、訴訟を提起した。

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各当事者の言い分

転買人Xの言い分

①媒介契約書は作成されていないが、Yは、重要事項説明書や本件売買契約書に媒介人として記名押印している上に、本件売買契約の締結がYの事務所で行われており、XY間の媒介契約は成立している。
②本件売買契約が他人物売買契約であることからすれば、Yは、本件土地の登記名義人であるAらがBに対して本件土地を売却する意思があるか確認する義務を負っていたにもかかわらず、第一次売買契約に媒介人として記載されていた宅建業者に確認もしなかったのだから、Yには善管注意義務違反がある。

媒介業者Yの言い分

X及びYの間に媒介契約書は作成されておらず、媒介契約は成立していない。それゆえ、Yは、媒介契約に基づく調査義務を負うものではない。

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本事例の結末

裁判所は、XY間に媒介契約が成立していたことを認定した上で、①本件売買契約が他人物売買契約でありBが本件土地の所有権を取得できなければXに損害を与えることになることを容易に知り得たこと、②本件売買契約の調印会場が直前になって変更されたり、Bの事務所には事前の説明と異なる会社名が掲げられているなど不信感を抱く状況があったことからすれば、YにはAらに本件土地を売却する意思があるか否かについて、Bが持参した第一次売買契約の内容を確認するだけでなく、同契約書に媒介者として記載された宅建業者に連絡を試みるなどして確認すべきであったが確認をしなかった注意義務違反があるとし、YのXに対する損害賠償責任を認めた。
もっとも、裁判所は、Xが宅建業者であり、Bが本件土地の所有権を取得できない場合のリスクを理解していたと思われる上に、上記の不信感を抱くに足りる事情があったことからすれば、Yに対して、どの程度調査を尽くしているか確認を行い、更に調査を行う様に指示すべきであったにもかかわらずこれを行わず、安易にこれを信頼したのだから、この点に過失があったとして、Xにも2割の過失があるとした。結論として、裁判所は、Yに対して、Xが主張する既払いの手付金500万円のうち、Yの責任割合に相当する8割の400万円(控訴審は6割・300万円に変更)の損害賠償責任がある旨の判示をした。

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本事例に学ぶこと

本事例は、いわゆる地面師による詐欺事件において、媒介を行った宅建業者の損害賠償責任が認められた事案であるが、①他人物売買であり、一次売買契約のリスクが問題となった点、②被害者となった買主も宅建業者であった点において特殊性があり、媒介を行う宅地建物取引業者の責任を考える上で重要な教訓を与えるものである。

(1)本判決のポイント

①本判決は、先行売買を前提とした他人物売買による地面師詐欺を巡り、被害者である転買主側の媒介を行った宅建業者の調査が不十分であったとして、損害賠償責任を認められた事例である。本判決の特徴は、本件事案における事実関係のもと転買主側の媒介を行った宅建業者に、先行売買契約に関する一定の調査義務を認めた点である。
本判決は、本事例における「売買契約の締結場所が直前になって変更されたり、Bの事務所には事前の説明と異なる会社名が掲げられている」といった事情があり、不信感を抱くべき状況があったことを理由として、媒介業者の調査義務を認めている。それゆえ、本件の様な他人物売買について、一般的に媒介業者に本件同様の調査義務を認めているのか明らかではない。
もっとも、先行売買契約の有効性を前提とした他人物売買契約の媒介を行う場合
、通常よりリスクが高い取引であることを踏まえ、通常の取引より高い調査義務が求められるとしても不合理とはいえない。それゆえ、実務的に可能な範囲内で先行売買契約の有効性に関する調査を行うことが、リスク低減のために好ましいといえる。
②なお、本判決は、被害者である転買主が宅建業者であったことを理由とした過失相殺がなされた点も特徴的である。宅建業者の専門家としての責任は、その判断能力及び調査能力に起因するものといえる。
この点、媒介業務の委託者が宅建業者である場合、委託者(転買主)も、物件のリスクについて十分な判断及び調査能力を有している。もっとも、他の宅建業者に媒介業務を委託して、媒介業務の委託者である宅建業者が調査を行わないことが取引の前提になる。それゆえ、宅建業者である委託者が調査を行わなかったこと自体は、直ちに過失相殺の理由にならないものと考えることも合理的である。他方、委託者である宅建業者が判断能力を有していることに鑑み、調査の指図を行わなかったことは過失相殺の原因になりうると評価することも合理的である。実際、本判決が過失相殺の根拠として、媒介業務の委託者である宅建業者Xが自ら調査等を尽くさなかったことではなく、Yに調査を指図しなかったことを理由とするのは、上記の様な宅建業者間の役割分担を前提とした判断であると考えられる。なお、控訴審では過失割合が変更され、XとYの責任割合は4:6とされた様である。

(2)教訓

①本件では、宅建業者Yは、媒介契約を締結しておらず、そもそも媒介業務を行っていないと争っている。事実、裁判所が認定した事実関係を踏まえると、Xに本件土地の取引を紹介した者が、本件売買契約の前日に急遽Yを媒介業者として紹介しており、全般的にYの関与は消極的な面もあり、調査を行うにも時間的猶予もあまりなかったと思われ、Yの言い分に理解ができる側面もある。もっとも、Yは、本件売買契約に媒介業者として押印をしたり、契約場所を提供するなどの関与をしている為、媒介契約の不成立を主張することは容易ではないと思われる。
②地面師詐欺の事案では、自称売主の本人確認がきちんとなされていたかが主要な論点となり、身分証明書等について巧妙な偽造がなされていた事案では、媒介業者の調査義務は果たされていたとされる事案も散見されるところである。本件ではYもBの本人確認などを行っていた様であることからすれば、媒介業者であることは認めた上で、媒介業者としての義務をきちんと果たしていたとして、その調査方法の合理性を争うという方針もあり得たかもしれない。いずれにしても、我が国では、契約書がなくても契約の成立及びこれに起因する法的責任が認められるため、中途半端な関与をすれば、責任だけが認められてしまうリスクがある。それゆえ、媒介者として関与する以上は、プロフェッショナルとして十全な注意を行うべきであると考える。
③また、本事例の様に宅建業者が自らが当事者となる不動産取引について外部の媒介業者に媒介業務を委託し自らは調査を行わない場合でも、自らの専門的判断能力に基づき、調査不足を指摘し、追加調査を指図しなければ、過失相殺が認められる可能性があるため注意が必要である。

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お客様にはこの点を斟酌して頂いた上で、適正な仲介手数料をお支払い頂けると幸いです。

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安達孝一

部署:本店

資格:宅地建物取引士、定期借地借家権プランナー、 2級ファイナンシャルプランニング技能士、 日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント、 日本仲人協会 マリッジアドバイザー

日々、情熱・魂(ゲミュート)・鋼鉄の意志で生きています。

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