不動産仲介トラブル事例10:その他のトラブル事例(土地)

本ブログでは、不動産業者向「ヒヤリハット!不動産仲介トラブル事例集」
記載の事例について記述します。

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埋立地における天災地変による瑕疵担保責任免責条項

概要

買主が10年前に宅建業者から購入した建売住宅で、震災による不同沈下が発生しました。売買契約書には、「天災地変による場合には、売主は瑕疵担保責任を負わない。」という特約が付されていましたが、買主は売主の宅建業者に対して、「土地が埋立地であることは説明されていない。不同沈下について責任を負わないのは納得できない。」とクレームがありました。

対策

特約の趣旨が、文字どおり天災地変が原因による被害であった場合には、瑕疵担保責任を負わないという趣旨であれば、その特約はその限りにおいて有効であるといえます。売主の瑕疵担保責任は無過失責任ですから、売買された物件に隠れた瑕疵がある以上、その隠れた瑕疵について売主は責任を免れることはできません
今回の不同沈下が、その埋立地特有の問題(地盤沈下や液状化)としての隠れた瑕疵があり、その瑕疵が原因となった場合には、仮に今回の地震がその引き金になったとしても、売主はその責任を免れることはできない可能性があります。
したがって、天災地変が引き金になって発生した毀損のすべてにおいて、売主が責任を負わないとする特約は、宅建業法上も品確法上も無効となる可能性が高いといえます。
この事例では、分譲後10年を経過しており、宅建業法上の特約として瑕疵担保責任の期間を2年間と定めてあったことから、宅建業法上も品確法上も、その瑕疵担保責任の期間が満了しているので、宅建業者として責任を負うことはありませんでした。
しかし、本事例のように、「天災地変による場合には、売主は瑕疵担保責任を負わない(民法改正後は、契約不適合責任を負わない)」という契約条項の有効性について、一律には判断できない点に留意すべきです。
その約定の有効性が重要なことではなく、具体的に発生した現象・事象がたとえ天災地変時に生じたことであっても、物件の瑕疵(契約不適合)が原因で生じたものかどうかという点が重要であるといえます。ただし、その原因の認定はかなり困難であるといえます。

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分譲後20年経った建売住宅の解体に伴う土地の瑕疵担保責任

概要

仲介会社が20年前に分譲された建売住宅の売買を媒介したところ、買主が建物を解体し、新築建物の基礎工事中に地中から建物の残材と思われるガラが発見されました。
買主は仲介会社に、「地中に古い建物の残材と思われるガラが混入されていて、建設会社から撤去費用に100万円程度かかるといわれている。これは瑕疵物件ではないか。」と、クレームを申し入れてきました。

対策

建築廃材と思われるガラは、調査によって20年前の建売業者が従前の建物を解体した際に、残材を地中に埋めたものであることがわかりました。
なお、今回の売買では瑕疵担保責任期間が引渡しから1年となっており、まだ売主の瑕疵担保責任の期間は満了していません。
まず、これが瑕疵にあたるかどうかですが、新たな建築工事に支障があり、追加費用が発生するということであれば、たとえ20年前に他人(建売業者)が混入したものであっても、今回の売主が、買主に対して瑕疵担保責任を負うことになります
仲介会社としては、売主が何も問題なく20年以上居住していた事実を踏まえると、瑕疵を予測することは不可能であり、調査・注意義務違反はないといえます。
では、今回の売主が20年前の売主(建売業者)に対し瑕疵担保責任を追及できるかどうかですが、残材を埋めたという事実を立証できれば、時効の援用が信義則に反するのではないかという考え方から、損害賠償請求は必ずしも不可能ではないとも考えられますが、時効との関係で責任追及にはかなりの困難が予想されます。
瑕疵担保責任については、売主と買主の問題ですから、その対応については当事者の判断に委ねるべきですが、仲介会社としては、被害額が100万円程度であることを踏まえて、時間と費用のかかる裁判にするようなことを避け、できるだけ話し合いで決着をつけるようにアドバイスすべきだといえます。

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埋設管の調査義務と事後対応

概要

仲介会社が売買契約を媒介した既存戸建で、引渡し後に、買主が既存の古家を取り壊したところ、隣地との境界線沿いの敷地内に、奥側(道路と反対側)の所有者が使用していると思われる古い水道管が埋設されていることがわかったことから、仲介会社に対して、「調査の不備ではないか。売主に撤去するよう言ってほしい。」と申し入れがありました。

対策

この水道管は、現在も使われている水道管ですが、市の水道局に配管図面が存在しておらず、売主自身も2年前にこの戸建を相続したばかりなので、水道管の存在について認識していませんでした。
まず、仲介会社の調査義務についてですが、水道局の配管図に記載がなく、売主からの告知もない場合で、現地や隣地・近隣にその事実を推察し得るような状況がない限り、仲介会社として、媒介上の調査義務違反はないと思われます。
ただし、調査義務違反ではないとしても、この既存戸建が、売主が2年前に相続したばかりであることを考慮すると、仲介会社として、建築時の建築図面や配管図面などの確認や周辺の所有者との間で交わされた覚書等の存在を確認するなどの対応で、あるいは何らかの確認図面や確約書面などが発見できた可能性も全くないとはいえず、取引の安全を確保するためには留意すべき点だといえます。
では、水道管の埋設という「隠れた瑕疵」に対する売主の責任についてですが、この点については、買主に具体的な損害があるのかという難しい問題もあると思われます。
仲介会社の対応としては、買主と同行して、奥側隣地の所有者に対し、埋設されている水道管について、市の水道局の配管図に記載がない理由の確認や、この土地の従前の所有者(被相続人)との間で、水道管の埋設に関する覚書などが交わされていないかなどの確認をした上で、対応を考える必要があります。
その上で、売主から隣地の所有者にはたらきかけ、現在の状態を確認して、将来の移設・撤去ということについて合意した文書を取り交わすなどのアドバイスをすることで、問題の解決を図ることが望ましいといえます。

※2020年4月1日に施行された改正民法において、「瑕疵担保責任」に替わり、「契約不適合責任」の規定が設けられました。「瑕疵担保責任」では、目的物に隠れた瑕疵があった場合、買主は損害賠償を請求することができ、その瑕疵のために契約の目的を達することができない場合には、契約の解除を求めることができました。一方、「契約不適合責任」では、相手側に引き渡した目的物が種類・品質・数量に関して「契約内容に適合していない」場合、追完(修補)請求や代金減額請求が可能となりました。また、売主に帰責事由がある場合には損害賠償請求も認められ、売主の帰責事由の有無を問わず、さらに、不適合内容が軽微でない場合には契約解除の請求も可能となっています。本事例は、民法改正前のものですが、トラブルの発生原因が物件の瑕疵によるもので、隠れた瑕疵により契約の目的を達することができない点については、契約不適合責任においても同様に判断される可能性が高く、今後の取引においても参考になると思われることから、「その他の事例」として採用しています。なお、2020年3月31日までに締結された契約については改正前民法が適用されるため、消滅時効(引渡しから10年)を迎えるまでの間、瑕疵担保責任に関するトラブルが発生する可能性もあります。

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お客様へのお願い

最近、仲介手数料の大幅値引き依頼をされるお客様が散見されます。
上記のように、物件調査を基本に忠実に行なうには、不動産業者側にて相当な手間とコストが必要になります。
お客様にて仲介手数料の過大な値引き依頼をされると、物件調査のコストが捻出できず、物件調査の品質に影響が出てしまいます
お客様にはこの点を斟酌して頂いた上で、適正な仲介手数料をお支払い頂けると幸いです。

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安達孝一

部署:本店

資格:宅地建物取引士、定期借地借家権プランナー、 2級ファイナンシャルプランニング技能士、 日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント、 日本仲人協会 マリッジアドバイザー

日々、情熱・魂(ゲミュート)・鋼鉄の意志で生きています。

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