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日本では、相続税により「三代で財産が無くなる」と言われています。
その為、世の中には、様々な相続税対策が存在します。
ここでは、そのうちの1つである、投資収益物件購入による
税負担の軽減策について記述致します。
※ 本ブログの記載内容は、一般的な事例です。
※ 相続税に関する具体的なご相談は税務相談に該当し、税理士の独占業務になります。
弊社 株式会社アダチでは、相続に詳しい税理士事務所をご紹介致します。
東京都新宿区にお住まいの方。東京都新宿区に不動産をお持ちの方。
相続税の税率
相続税は、法定相続による取得金額から控除金額を差し引いた金額に
税率を掛けて算出されます。
不動産の評価
不動産は、
建物:固定資産税評価額
土地:路線価
にて評価されます。
但し、投資収益物件の中でも貸家(居住用の賃貸に供されている)の場合は、
建物
:固定資産税評価額-固定資産税評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合
土地(貸家建付地)
:自用地評価額-自用地評価額×借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合
となり、7割の評価となります。
東京都新宿区にお住まいの方。東京都新宿区に不動産をお持ちの方。
なぜ、居住用投資収益物件なのか
ここでは、
現金資産額 = 居住用投資収益物件の取得金額
とします。
現金資産額 > 居住用投資収益物件の固定資産税評価額
の場合、相続税額を軽減できる可能性があります。
ケーススタディ:東京都N区 一棟レジ
物件概要は、以下の通りです。
物件価格:54,800万円 (A)
取得諸費用(概算):3,836万円 (B)
R3年度 固定資産税評価額
土地:13,429万円
建物: 4,097万円
年間賃料:2,272万円
(A) + (B)の金額の現金(58,636万円)を相続した場合、
相続税額(概算)は
58,636万円 - 控除額7,200万円 = 51,436万円
51,436万円 × 55% = 28,289万円
(A) + (B)の金額の現金(58,636万円)で一棟レジを購入。
その後、この一棟レジを相続した場合、
相続税額(概算)は
(13,429万円 + 4,097万円) × 0.7 = 17,526万円
17,526万円 - 控除額1,700万円 = 15,826万円
15,826万円 × 40% = 6,330万円
このケースの場合、58,636万円を現金で相続すると、相続税額は 28,289万円
となりますが、一棟レジで相続した場合、相続税額は 6,330万円となります。
また、この一棟レジを所有すると、年間2,272万円の賃料収入を獲得できます。
この収入を生活資金としたり、相続税納税資金として充当する事も
できます。
※ 上記記載内容は、一般的な事例です。
※ 相続税に関する具体的なご相談は税務相談に該当し、税理士の独占業務になります。
弊社 株式会社アダチでは、相続に詳しい税理士事務所をご紹介致します。
東京都新宿区にお住まいの方。東京都新宿区に不動産をお持ちの方。
まとめ
相続税対策の1つである、居住用投資収益物件の購入
について記述致しました。
但し、上記の記載内容は、一般的な事例です。
お客様の個々の事情等により、税理士等のプロフェッショナルの力を
借りつつ、細かく精査した上で、本当に居住用投資収益物件の
購入をすべきかどうか判断する必要があります。
東京都新宿区にお住まいの方。東京都新宿区に不動産をお持ちの方。
ご要望があれば、相続に詳しい税理士事務所をご紹介致します。
2022/04/19追記
マンション相続課税、「伝家の宝刀」抜いた国の勝訴確定 最高裁
朝日新聞デジタル、4/19(火)15:03配信
<これまでの流れ>
① 不動産会社の代表だった男性(故人)が借金をして
2009年に計13億8700万円でタワーマンションを購入、子どもたちが12年に遺産相続。
② 国税庁の通達では、不動産の相続税を計算する際、
土地の評価に「路線価」、建物に「固定資産税評価額」を使うとしている。
③ 遺族はこれをもとに土地と建物の価値を計約3億3300万円と評価した上で、
銀行からの借金を差し引き、相続税はゼロと申告。
④ 税務署は、マンションの購入自体が相続税を回避しながら資産を引き継ぐ目的だったとみなし、
「行きすぎた節税策で、ほかの納税者と著しく不公平になる」と考えた。
➄ 通達には、税務署が「著しく不適当」と考えた場合、独自に評価をやり直せるという例外規定がある。
税務の世界で「伝家の宝刀」とも呼ばれるこの手法(評価通達6項)を使い、
税務署は土地と建物の鑑定をやり直した。
その結果、マンションが将来生み出す収益も見込めば評価額は約12億7300万円だと算定し、
約3億3千万円を追徴課税した。
⑥ ⑤の後、遺族は、国を相手取り、裁判を起こす。
<評価通達6項 概要>
評価通達6項の適用に当たっては、
〔ⅰ〕 評価通達による評価方法を形式的に適用することの合理性が欠如していること(評価通達による評価の合理性の欠如)
〔ⅱ〕 他の合理的な時価の評価方法が存在すること(合理的な評価方法の存在)
〔ⅲ〕 評価通達による評価方法に従った価額と他の合理的な時価の評価方法による価額の間に著しい乖離が存在すること
(著しい価額の乖離の存在)
〔ⅳ〕 納税者の行為が存在し、当該行為と〔ⅲ〕の「価額の間に著しい乖離が存在すること」との間に関連があること(納税者の行為の存在)
の四つの点が判断基準となると考える。
出典:税務大学校研究部教育官 山田重將 著
「財産評価基本通達の定めによらない財産の評価について-裁判例における「特別の事情」の検討を中心に-」
149-150頁
<この記事のポイント>
購入額と評価額が著しく乖離し、「行きすぎた節税策で、ほかの納税者と著しく不公平になる」と
税務署が判断した場合、評価通達6項を根拠に土地と建物の鑑定をやり直し、追徴課税する事。
これが最高裁で国の勝訴が確定する事で、この判決が法律と同じ効力を持ちます。
→ 現金資産額 > 居住用投資収益物件の固定資産税評価額が著しいと税務署が認定した場合、
今後、税務署は「評価通達6項」とこの最高裁判例を根拠に、相続財産の鑑定のやり直し、
及び追徴課税を行うケースが増えると思われます。
物件価格と「路線価」+「固定資産税評価額」の乖離が大きすぎる投資用不動産に関して、
業者の「相続税対策になる」セールストークに対し、かなり慎重な見方が必要になります。
(2022/09/03追記)
この内容、国土交通省 宅建士証更新 法定講習の
「V 改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項」
にて、講師である税理士の先生が、一番最初に触れていました。
「宅建業者が、節税対策のみ強調して、この最高裁判例を説明しないと、後で大変な事になる。」
との事でした。
(2023/6/27追記)
株式会社アダチの代表、安達 孝一さんのブログ
にて、国税庁『マンション相続などで大幅節税 評価額を市場価格の最低6割に』関連記事について、触れております。是非、ご参照下さい。
※ 本ブログの記載内容は、一般的な事例です。
※ 相続税に関する具体的なご相談は税務相談に該当し、税理士の独占業務になります。
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